今では、シャンプーやリンス、洗剤や柔軟剤に至るまで、ありとあらゆるものが香りというものにこだわる時代になりました。

日本でも1990年代ごろから、アロマオイルをもちいたアロマテラピーという療術の普及がはじまり出したのを覚えております。

この「においを嗅ぐ」という行為、私たち人間以上に、多くの動物たちにとっては重要な行為になるのではないでしょうか。

においを頼りに食べ物を見つけたり、交尾の相手を見つけるためににおいを嗅いだり、縄張りの確認のためだったり、または敵に襲われないようにするためだったりと、生死にも結び付くものになります。

そして、他の感覚系、視覚・聴覚・味覚は視床を経由するのに対し、この嗅覚だけは、視床を経由せず大脳に届きます。

鼻から入ったにおいは、鼻の奥にある嗅上皮の粘液に付着し、嗅上皮にある嗅細胞が刺激されると、それを電気信号に変換され、大脳皮質の前底部にある嗅球に送られます。

そこから、大脳皮質にある嗅覚野に送られ、どんなにおいなのかを判断します。

嗅覚

嗅覚の電気信号は、大脳皮質に送られるだけではなく、大脳辺縁系にある扁桃体、海馬、視床下部などにも送られます。

とくに、恐怖に深く関わる扁桃体には、嗅球からどこにも経由することなく、直接信号が伝えられます。

これは、これは本能的な危険を察知するために授かった、古くから持つ能力ではないでしょうか。

また、視床下部・扁桃体・海馬は、本能的な快・不快、人間の情動、記憶などに深く関わりのある部位でもあります。

そのために、自分にとって、心地のよい香りをかげば、自然と気持ちが癒されるし、嫌な臭いをかげば、気持ちを害するというのも、おいしそうなにおいをかいだ時に、食欲をそそられるというのも、本能と情動とにおいというものが、結びついているといっていいのではないでしょうか。

ですが、まだまだ嗅覚の伝達経路には、不明とされることが多いようで、この先、もっと面白いことがわかってくることがあるかもしれません。

私たちに、「香り」を感じさせて心を癒してくれたり、さらには危険をも知らせてくれる「嗅覚」。

今日も、自分の体と脳に感謝です。(^_-)-☆