一言で記憶といっても、「短期記憶」と「長期記憶」など、さまざまな形で分けることができます。
住所を聞いて書き留めるなどのような、ほんの少しの間だけ覚える短期記憶。
それよりも長い時間記憶しておかなければならない長期記憶。
その長期記憶の中でも、陳述記憶と手続き記憶として分けることができ、陳述記憶も、さらに意味記憶とエピソード記憶に分けることができます。
短期記憶
電話番号を聞いて電話をかける、聞いた住所を書き留めるなどの、ほんの数十秒の短い間だけ覚えておく必要なある記憶。
その作業を終えてしまえば忘れてしまうような記憶。
長期記憶
陳述記憶
言葉や文字、図形などで表すことのできる記憶。
いつの間にか忘れてしまうことも多い。
勉学による知識、思い出など。
意味記憶
歴史上の出来事、英語の単語や文法など、知識として学習を通して得た記憶。
エピソード記憶
経験の中で蓄積されている記憶。
自分の経験談として言葉できるものから、印象に残っている景色など、言語で表現できないものある。
手続き記憶
自転車の乗り方や、楽器の演奏、職人といわれる技術など、体験や経験を反復し身に付けた、いわゆる「体で覚える」といわれている記憶。
一度身に付けると、ほぼ忘れることはない。

短期記憶は、海馬と大脳皮質の前頭前野(前頭連合野)が関わり、たとえば「住所を聞いて書き留める」というものでは、海馬に聞いた住所が一時的に記憶され、その記憶をもとに前頭前野で書き留めるという作業を決定し、その信号を運動連合野におくり、手で書き留めるという作業が行われます。
書き留めるという作業が終われば、海馬に一時記憶されたものは必要ないので消されてしまいます。
陳述記憶のエピソード記憶では、海馬 → 脳弓 → 乳頭体 → 視床前核 → 帯状回 という、大脳辺縁系の中心的な回路が、重要な役割を果たしていると考えられています。

意味記憶では、上にあげた大脳辺系の中心的な回路にくわえ、側頭葉も重要な役割りをしていると考えられています
手続き記憶では、大脳基底核と小脳が中心的な役割を果たすと考えられています。
大脳基底核は、体の筋肉を動かしたり止めたりする大きな動きの記憶に関わり、小脳は筋肉の動きの調整やバランスを保ちつつ動かすといった細かい動きの情報の記憶に関わっています。
また、記憶の内容によっては、前頭前野、補足運動野など、複数の大脳皮質の領域が関与しているのではないかといわれています。
このように、長期記憶では海馬を中心に、海馬が送られてくる記憶を整理し、この後に必要である記憶と、必要でない記憶とを区別し、必要であると判断された記憶は、大脳皮質のさまざまな場所に送られ、記憶されると考えられています。
まだまだ記憶と脳の関係性は、わからないことだらけ。それでも、私たちが生きていくのに、記憶というものは掛け替えのないものだということはわかります。
記憶という形で、私たちを守り未来を与えてくれている、自分の脳と体に、今日も感謝です。(#^.^#)
