私たちが外の世界からの情報を受け取るには、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・身体感覚という五感が欠かせません。

五感によって外の世界を感じ取り、その情報が脳に送られることで、外の世界のことを認識しています。

今回からは、その五感と脳の関係をみていきたいと思いますが、今回は、五感の中でも最も頼りがちな感覚、視界と脳の関係をみていきたいと思います。

臭いに敏感な人もいれば、音に敏感な人もいるように、感覚の敏感さというのは人それぞれだと思いますが、目が見える人でとっては、外界から得る情報収集の80~90%が視界から得ていると言われています。

目から網膜へ

視覚は、物体に反射した光が目に入ることで、網膜内にある視細胞を刺激し、その刺激が大脳に伝わることで「ものを見た」ということになります。

目にはカメラのレンズの役割を果たす水晶体があり、目がとらえたものは、この水晶体を通って網膜に映し出されます。

視神経


網膜には、写し出された画像を電気信号に変換することのできる、1億個以上もの神経細胞(視細胞)が、幾重にも層をなして並んでいます。

その視細胞は、棒状の「桿体細胞」と、錐体の「錐体細胞」の2種類に分けられます。

桿体細胞は、光を感じ取って明暗の違いを識別することができ、明るさや暗さを調整する働きをします。

たとえば、部屋の照明を消して暗くしたとき、最初は何も見えませんが、じきに目が慣れてくると、うっすら見えるようになるのも、桿体細胞が自動的に感度を上げてくれているおかげです。

逆に、暗いところからまぶしい場所に行くと、桿体細胞が感度を下げてくれます。

錐体細胞は、明暗の識別をすることはできませんが、大脳に色を判別させる役割をしています。

錐体細胞は、光の3原色である赤・緑・青のそれぞれを識別できる細胞があり、それぞれの情報を電気信号として大脳に伝えます。

その情報を大脳内で処理し、色のイメージとして認識されることになります。

網膜から脳へ

水晶体を通って、網膜にある視細胞が受け取った情報は、電気信号に変換され、視神経を通って大脳に送られます。

網膜からの情報は左右の目から出ている視神経を通るのですが、視神経は眼球の後ろで交叉(視交叉)していて、右の眼球の右半分から来た神経の束はそのまま右の束へ、左半分から来た神経束は交叉して左の束へ、同じように、左の眼球の右半分からの神経束は右の束へ、左半分からの神経束は左の束へと振りかけられ、まずは「視床の外側膝状体」に送られます。

視交叉


視床の外側膝状体で、網膜から送られた情報が最初に整理され、大脳皮質の「視覚野」「視覚連合野」に送られ、明るさ、色や形、動き、位置関係などを分析し、その後、側頭葉にある側頭連合野で、それがなんであるか判断されます。

人間は目で物を見ているとしても、視覚に入るすべての情報を脳にインプットしているわけではありません。

視覚に入ってくる情報は、あまりにも膨大になるために、すべてをインプットしていたら、脳はパンクしてしまいます。

なので「今、そのときに必要だ」と思うものだけを選択し、脳に情報をインプットします。

たとえ視界に入っていたとしても、選択から漏れたものは脳にインプットされないので、見えていないのとほぼ同じ状態になります。

この情報の選択するという作業は、大脳皮質で行われています。

「目で見て情報を得る」という作業でも、いろいろな脳部位が働いてくれることで、視覚情報が私たちに伝わることになります。


目に入ることで、いろいろな情報を取り込んでくれたり、美しい景色、カワイイ動物などを見ることで、私たちの心をふるわせてくれる視覚情報。 今日も、そんな自分の体と心に感謝です。(#^.^#)