人間を含む脊椎動物の脳の起源をたどると、約5億年前に地球に出現したホヤなどに行きつくと言われています。


ホヤはスーパーなどで売られているときは、「ホヤ貝」などという名で陳列されているときがありますが、ホヤは生物学的には、貝でもなく、魚でもありません。動物に近い脊索動物(せきさくどうぶつ)の一種として分類されています。

ほや

売られているホヤを見てみると、植物の実のような形をしていますが、これは成体で、ホヤは成長過程で変態する動物です。

幼生のときはオタマジャクシのような姿で、自由に海の中を泳ぎまわり、成長過程で岩場などに固着し、そしてあの独特な植物の実のような形になるそうです。

ホヤの脳を見てみると、脳は長さが2ミリほどで、太さはわずか0.2ミリほどのチューブ状の神経管がつくられることから始まり、この神経管の中に神経細胞がつくられ、それが成長し脳となり、単純ではありますが、光を感じる神経細胞をもっていると言われています。

このホヤが、魚類へと進化し、両生類 → 爬虫類 → 哺乳類 と進化をしていくのですが、すべての脊椎動物の脳は、基本的に似た構造を持っています。
それは、どの脳も「脳幹」「小脳」「大脳」の3つの部位からなり、違っているのは各部位の大きさや、バランスの違いだけだからです。

魚類の脳

魚類
大脳の割合が小さく、生命を維持するための脳幹(中脳・間脳・延髄)と、運動の中枢である小脳が脳の大きな割合を占めたいます。脳幹は反射や、摂食、交尾のような本能的な行動をつかさどっています。

爬虫類の脳

爬虫類
脳幹と大脳が脳全体の大きな割合を占めていて、大脳は、生きていくために必要な、本能や感情をつかさどる「大脳辺縁系」が大きな割合を占めています。

哺乳類の脳

哺乳類
哺乳類になると、大脳の割合が大きくなり、間脳や中脳を覆いつくすようになり、新たに大脳新皮質が現れ、そこに運動野や感覚野が出現します。

霊長類の脳

霊長類
霊長類では、さらに大脳新皮質が大きく発達し、運動野・感覚野と新たに連合野が出現し、より高度な認知や行動が可能になっていきます。
人間では、大脳新皮質が脳の90%を占めるようになります。


魚類・両生類・爬虫類の脳で目立つのは、生存するために食物をとることや、交尾するといった、本能的な行動をつかさる「脳幹」が占める割合が大きく、哺乳類になると、感覚や運動機能をつかさる「小脳」や「大脳」の占める割合が大きくなります。

そして、私たち人間などの霊長類は、さらに「大脳」が占める割合が大きくなり、思考や感情などをつかさどる「大脳皮質」と呼ばれる部位が、この「大脳」の90%にまでを占めるといわれています。

これがどういうことかというと、脳の進化は、基本的な構造が変化するのではなく、各部位のバランスの変化と、さらに新しい機能がどんどんと付け加わるように進化してきたと考えられています。

私たち人間は、脳の大半を大脳皮質という部位が占める生きもの。

そして私たちは、この脳の進化によって、楽しい・悲しい・嬉しい・心苦しい・愛おしいといった、気持ち・感情というものを授かりました。

それは私たちが生きていくうえでは、避けては通れないものだということは、もうお分かりだと思います。

気持ちの変化がある、感情の変化をもてるということは、進化の過程では、とてもスゴイこと!

そしてそれが、私たちの「生きる糧」となっていることは、言うまでもありません。

今日もそんな自分の体と脳に、感謝です (#^.^#)