生きていくために必要な、動物的本能や情動を担っているのが「大脳辺縁系」なのに対し、「大脳皮質」は、ものを知覚したり、運動を制御したり、未来の予想、計算など、感覚・思考・判断といった人間らしい行動をつかさどる働きをおこなっています。

なかでも「大脳新皮質」は新しく進化した領域であり、「大脳新皮質」の発達は、私たち霊長類の脳の特徴でもあります。

私たち人間の「大脳皮質」の比重の割合は、他の動物とは比べ物にならないほど大きく、脳全体の80%を占めているといわれています。

大脳皮質は解剖学的に、「前頭葉」「頭頂葉」「側頭葉」「後頭葉」と、4つの領域に分けることができ、それぞれが違った機能を受けもち、さらには働きごとに「感覚野」「運動野」「連合野」と、分けられています。

大脳皮質


まずは、大脳皮質の上部に位置する「頭頂葉」

一次体性感覚野とも呼ばれ、ここでは身体に刺激を受けると、痛いとか、熱いなどと感じ、それを筋肉に運動を制御する働きをもっています。

また、頭頂葉の連合野は、知覚、空間、時間の認知、判断などもおこなっています。

視覚・聴覚・味覚・身体感覚などからの情報を受け、その感覚情報が記憶され、すでに記憶されていた感覚情報と照らし合わせて、それが何であるかを認知し、理解し、判断することもおこなっています。

そして、その結果、知識が形成され、知能が高められていくと言われています。


次に、大脳皮質の側面に位置する「側頭葉」

一次聴覚野とも呼ばれ、聴覚から得られた言葉や音の情報を、理解する役目を担っています。

側頭葉の連合野は、主に記憶を整理し保存する中枢として働いています。

海馬に一時保存された記憶を、必要であれば長期保存する働きも担っています。


次に、大脳皮質の後部に位置する「後頭葉」

一次視覚野とも呼ばれ、視覚からの情報を処理する働きをもっています。

見える物の認識、人の顔の認識、色の認識などを担っています。


最後に、大脳皮質の前側に位置する「前頭葉」

脳の中で最も高度な機能をもつ部位とも言われる「前頭葉」。

一次運動野とも呼ばれ、運動機能や自律機能に関係しています。

ここでは、意志や意欲、創造、思考、感情、判断などをつかさどっています。

前頭葉の連合野は、前頭連合野は、他の連合野に保存・収集されている情報引き出し、そして引き出した情報をまとめたり、ばらしたりして、「これからどうしていこうか」といったプランを検討したりする、非常に高度な判断に関わっている場所になります。


このように4つの領域が組み合わさって、人間らしい思考・行動が可能になっていきます。