小脳の重さは大脳の10%程といわれていますが、細かいシワが大変多く、シワを伸ばした表面積は大脳の約75%にも及ぶといわれています。

私たちはふだん、特別に意識することなく立ち上がったり、座ったり、両手両足を交互に出し、バランスと的確なタイミングを取りながら歩くといった、そうした協調運動をつかさどっているのが、小脳になります。

小脳

スムーズな運動を正確に行うためには、体の様々な部分の筋肉が協調して活動することが必要でになります。それには、それぞれの筋をそれぞれの適切な強さと、的確なタイミングで収縮させるような制御が必須になります。

小脳は、その運動にかかわるそれぞれの筋の強さだけではなく、同時に細かなタイミングの制御もおこなっています。

たとえば、階段を下りるとき、右左の足首、ひざ、股関節、腰など様々な関節が連携して動くのですが、それが無意識のうちに行われ、重心を保ちながら一歩一歩降りていくのですが、そのバランスとタイミングが少しでもずれてしまうと、階段から転げ落ちてしまうことになりかねません。

このように、「階段を下りる」という大脳からの指令をうけ、「そのためにはどんな動きをすればいいのか?」というものを即座にはじき出し、そしてそれぞれの筋肉に、細かな指令を与えるのが、それが「小脳」と考えていいと思います。

また、スポーツなどの繰り返しの練習による上達も、小脳の働きによるものです。

経験したことのない、スポーツなどをする際、最初のうちは意識しながら体を動かさなければなりませんが、練習を重ねていくことで、体の動かし方も無駄がなく無意識に動かせるようになってくるという、「体で覚える」という運動の学習機能も小脳が担っているといわれています。

さらに「小脳」は、こうした運動の制御、運動学習だけではなく、近年では、思考、意識、言語、認知など、知性や心の働きにも、密接にかかわっているのではと考えられています。

スポーツの練習と同様に、頭の中で、思考を繰り返す学習をすることにより、専門的な知識が身についたり、学習した考え方が身につくのも、「小脳」の働きによるものだといわれています。