今の現代を生きる上では、ストレスとかかわりのない人というのはいないと思います。
仕事、家庭、学校、人間関係、生きているうえでは何らかの心身に負担がかかってくるというのは当たり前のことですよね。 そんな、ストレスと脳の関係を今回は見ていきたいと思います。
私たちの心身に、何らかのストストレスがかかると、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質が分泌されます。
ノルアドレナリンは、激しい感情の変化や、肉体への強い負荷などにより、人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されます。ノルアドレナリンが情報伝達物質として放出されると、交感神経の活動が高まることになります。
交感神経の活動が高まると、興奮の刺激がさまざまな器官に伝えられ、血圧が上昇したり心拍数が上がったりして、逆に腸の運動や粘液分泌は抑制され、体を活動に適した状態にします。
また副腎髄質ホルモンとして放出されると、主に血圧上昇と基礎代謝率の増加をもたらします。
そしてこれらの神経伝達物質の過剰分泌がおこると、神経細胞間の活動が弱まる原因になってしまいます。
そうして細胞間のネットワークの活動が弱まってくると、行動を調節する能力も低下してしまいます。
そうなると視床下部からコルチコトロピン放出ホルモンというものが分泌され、それが下垂体に働きかけ、下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが放出されます。
そうすると刺激された副腎皮質から、糖質コルチコイドのコルチゾールを血液中に放出します。
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンのひとつで、主な働きとして、肝臓で糖をつくり出す、筋肉でたんぱく質を代謝する、脂肪を分解して代謝を促進する、免疫抑制・抗炎症作用を持つなどの、人体にとってはとても有益な必須のホルモンです。
ですが、ストレスを受けたときに、脳の視床下部から刺激を受けて分泌が増えることから「ストレスホルモン」ともいわれています。
一時的なコルチゾールの分泌過多というのは、ストレスから私たちの身を守ろうとして起きる現象です。
通常であればコルチゾールの濃度が高くなると、その分泌が抑制されるという調整機能が働くのですが、過度なストレスが慢性的にかかった状態になると、この調整機能がうまく働かなくなり、コルチゾールの分泌が慢性的に高い状態になってしまいます。
そして慢性的に血液に放出されたコルチゾールが、脳に届くことで、大脳皮質の前頭前野や、海馬などに影響をもたらしてしまうことになります。
そうすると、ストレスによる疾患の原因となってしまうことがあります。
そして、そのコルチゾール分泌のバランスを整えるには、有酸素運動が有効とされています。
日常的にジョギングやウォーキングなどの有酸素運動をしている人は、いざストレスに直面したとき、運動の習慣がない人よりもコルチゾールの分泌が抑えられているという検証結果も出ています。
有酸素運動のように、適度に心拍数をあげて行う運動は、心身に負荷をかけるという意味ではストレスと一緒です。
酸素やエネルギーを必要とし、コルチゾール分泌が進んで鼓動が早くなり、血圧も上昇します。
このような運動を繰り返すことで、身体は適度なストレスによって、コルチゾール分泌のコントロールに慣れていきます。
そうすることで、実際に仕事や人間関係などでストレスを感じたときも、コルチゾールを適切に分泌することができるようになり、身体のバランスが維持されるようになるというのです。
毎日のほど良い運動、心がけたいですね。 適度なストレスというものは、私たちにとっては必要とされるものです。
そして、今回読んでいただいたように、ストレスを感じることで、ストレスホルモンといわれるこのコルチゾールを分泌するために、どれだけの器官が情報をリレーして伝達してくれているのか、そのために何種類の神経伝達物質やホルモンを分泌してくれているのか・・・
そうすることで、どれだけ私たちの体や心を守ってくれようとしているのか!!
私たちの脳と体って、私たちの知らないところで、いつもがんばってくれているんですね。
そんな自分の脳と体に、今日も感謝です。(#^.^#)